AI art "無法なれど👁葬るべきか"

無法なれど👁葬るべきか

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その後、私たちは嘉助さんと男の荷物の中から、旅路に必要そうな物資を選び出して拝借することにした。追い剥ぎをしているようで、というより追い剥ぎそのもので良心が咎めたが……「捧げられた人間」として、村に戻るわけにもいかないし、仮に戻ったとしても用意できるものなどたかが知れている。行動すると決めた以上綺麗事を言っている場合ではなかった。現状、この物資が頼みの綱だったのだ。 しかしながら、そうはいってもめぼしいものはほとんど得られなかった。良く考えれば、抱えるほどの大荷物を持って旅路を行くわけにもいかないので至極当然ではある。 はさみなどのちょっとした小物を巾着にしまい込み顔を上げると、百目鬼様は何やら紙の束らしきものを筥迫に収めていた。 「それは?」 「後に用に立ちぬ。また……この類の咎をだに妾が負ふべし」 難しい顔をしながら彼女は筥迫を懐にしまう。 彼女の言葉の真意は分からなかったが、どうやら私の代わりに汚れ役を引き受けてくれたようであった。 「行かむ。ここに長居する故ぞなき」 「……はい」 私は歩き出した百目鬼様の後を追おうとするが、後ろ髪を引かれるような思いに苛まれて振り返った。 事切れた二人は依然として薄く伸びた血の帯の中で横たわっている。 「百目鬼様。少しだけ……お待ちいただけますか」 「……」 百目鬼様は私の顔を一瞥する。 「久しくは控へぬぞかし」 逡巡の後、彼女はそう言い残すと洞窟を後にした。薄暗い洞窟の中に私だけが残される。……否、私と二人。彼らは悪人ではあったが、人であった。 そして追い剥ぎ同然の行為を働いた以上、今となっては私も同じ所へ堕ちた。 ならばせめてもの情け、せめてもの償いとして、間に合わせであったとしても彼らを弔うべきだと思ったのである。 とはいえ、力のない私には穴を掘って彼らを埋めたりすることは叶わない。 だから「間に合わせ」なのだ。 私はまず懐から手拭いを取り出すと、先程百目鬼様が乱暴に投げ捨てた彼らの目玉をひとつずつ拾い上げていく。触感に意識を向けないように努めるが、どうしても拾い上げる度、ぐにっとした内臓の柔らかさが手のひらにこびりつく。 「うっ……」 押し寄せる吐き気に耐えながら、底にじんわりと血が滲み始めた手拭いを結んで包み、彼らの遺骸の上にそっと載せた。 次に私は洞窟の入口付近に堆積した落葉をかき集め、布団のように彼らに被せていく。何度か往復し、洞窟の最奥に積み上がった小さな落葉の山が彼らの体を覆い隠したところで、手頃な木の枝をそれぞれの前に突き立てた。墓標の代わりだ。 「あなたたちを許すことはできませんが……必要以上に苦しむことも望みません。罪を償った後は、どうか安らかに」 目を閉じて手を合わせる。 気休めだとは分かっている。 自己満足だと分かっているが、それでも不思議なもので、心につかえた何かが少しは解消されたような気がした。 溜飲が下がった……というものとは、少し違うのだろうが。 ゆっくりと瞼を持ち上げると、洞窟内の微かな光が即席の墳墓の姿を再びうっすらと浮かび上がらせる。 風が吹けば吹き飛ぶくらいに軽薄な落葉たちは、しかし時が止まったようにぴくりとも動かない。 これは、私の墓でもある。 「……行こう」 私は踵を返し、その場を後にした。 *Alka*さんの素敵なLoRAをお借りいたしました! *Alka*さん→ https://pixai.art/@alka-kotoriine

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